自然療法としての酵素風呂

酵素風呂はオガ粉(青森ヒバ、吉野ヒノキ)と糠に発酵菌を作用させて自然発熱させ、そこに砂浴のように首だけ出して埋めてもらう。60度以上の高温になるが、乾式のサウナが100度でも大丈夫なのと同じで、42度の湯に入る程で気持ちよく温かい。埋葬されるようで恐怖感を持つ人もいるが、少し視点を変えれば、ヨーガの死体のポーズのように永遠の眠りに近いほどくつろげるという感覚である。温浴後にシャバ・アーサナでくつろぐと尚いい。

酵素風呂は温熱療法の効果と体内の毒素の排泄効果、酵母菌及び酵素の生命波動を受けて活性化する効果、そしてリラクゼーション効果が相乗するすばらしいものである。砂浴などは34時間とかかるが、これは最初15分程度、慣れてきても30分も入ると後で大分ぐったりするので、あまり時間をかけない。フグの中毒にあたったら首だけ出して土に埋めろと、古来云われるが、その方法で現代の環境毒を排出するのである。

酵素風呂は温泉やサウナと違って、すべて生きた酵母である。ひとすくいに何億という生命があって、その波動を全身に受ける。あたかも生命の海に漂う感覚である。

酵素風呂のぬくもりは、母の胎内のぬくもりに相当すると表現する人がいるくらい、包み込まれる母の愛のようにやさしく、奥のふかさを感じる。身体はほぐれ、疲労が取れ、血液はよく走り、酵素風呂から出てきた人の顔は皆、生まれたての赤ん坊みたいに血の気のあるいい顔に変身している。

●温浴用着衣とバスタオルはお貸しします。着衣で覆ってしまうところもあるようだが、肌に直に接した方が効果的である。全身を泥パックし保温する美容エステのように、肌に対する美容効果は高い。

酵素風呂と他のいくつかの温熱療法を加える方法もあるが、汗は出しすぎもよくない。(ゆるみ過ぎ、冷えが入りやすくなる、汗の処理や脱塩の問題)通常いっぺんに行うより、一つを長く継続していく方がいい。※酵素風呂と吸玉浄血法との併用はお奨めする。

-たくさんの人とか皮膚病の人が入浴した後に入って、衛生上、問題ありませんか?                                       -汗を吸い込んだオガ粉は体についたままで、外へ出て掃いますので大丈夫です。ただ、浴槽内で掃うのはよくありません。また、一人が入った後は温度が下がりますので、温度回復のために手入れして4時間ほど寝かせます。その間に雑菌は殺菌され、余分な汚れは分解されます。牛乳に6030分、低温殺菌法がありますが、60℃以上あれば雑菌が入り込む余地はありません。当所は少人数限定ですので、衛生上安心です。  

酵素風呂の入浴前後1時間は食事を控えて下さい。その日の家庭のお風呂も入らないで、足湯をしてからお休み下さい。  

初回体験料は2500円→2000円、2人の場合4000円です。着衣貸料込、手ぶらでOKです。

 

足湯--何かの変調があったら、まず足湯をやっていただきたい。浴槽か大きめの洗面器にお風呂の温度より2度高いお湯(熱くて気持ちのいい温度で12分で発赤する程度)を張って、足踝がかくれる位までお湯につける。冷めない様に注し湯をしながら6分~8分程度。一端足をあげて、両足の発赤状態(アキレス腱の辺り)を観る。片方の発赤が鈍い場合はその足をさらに2分間温める。偏りが激しい場合は左右で発赤の度合いが違う。入浴の前でなく、入浴後か入浴とは別に行なうこと。寝る前か朝の冷え込みが激しい時は朝起きてから行う。どんな冷えであっても足の第3趾と第4趾間が狭くなっているから、ここを拡げるように刺激したり、左外踝の下の膀胱炎の急処や土踏まずの喉の急処を弛めたりした後に足湯をすると尚よい。風邪の初期、鼻や喉や気管にくる風邪すべてによい。女の生理時にやると経過が軽い。足湯後に少量水を含む。日頃の体調管理として是非やっていただきたい方法である。何事も変動が小さいうちに調律しておくことが望ましい。

 

【酵素温浴の心得】

高血圧、貧血気味の方はお申し出ください。

用便は先に済ませておきましょう。

温浴の着衣はなるべく肌が多く出るものにして下さい。女性でも抵抗がなければパンツだけの方がいいでしょう。

温浴して5分間は動かないでジィッとしていて下さい。すぐ手足を動かすと熱さがより強くなります。体が熱さに慣れてきたら心地いいように動かして構いません。

リラックスが大切で、できるなら全身の細胞で呼吸するつもりになって下さい。代謝がより促進されます。

温浴時間は15分程度、長くても20分です。入り過ぎると気分が悪くなったり、後で疲れが出ます。途中でドキドキして気分が悪い場合は、無理をしないで手足を出したり、半身浴に切り替え深呼吸をしましょう。

温浴時間は最長30分ですので、お守り下さい。

全身浴の後は上半身を少し起こして半身浴を5分程度されるとよいでしょう。もしくはうつ伏せになりお腹を温めるのもいいものです。

出た後の空いた穴は軽く埋めていただければ助かります

体に着いたオガクズは中で掃わないで下さい。外へ出て所定の場所で掃って下さい。後、汚れた所は簡単にお掃除していただければ有難いです。

温水シャワー後、下腿だけでも冷水をかけて下さい。夏は全身を水シャワーで肌を引き締めておくとよいでしょう。

温浴後はゆったりとくつろいで下さい。又は5分でもいいですから横になってお休み下さい。この時の安静刺激が大切なのです。ただし眠ってしまうのはよくありません。

汗をかいた後は、竹塩を少しなめて生水をお飲み下さい。

最初の方は不安があったりして汗が出にくいのですが、回数を重ねるに随い、汗をかきにくい人でも汗をかける体に変わってきます。週に12回を継続してみて下さい。

不明な所があれば気軽にお尋ね下さい。

 

 

■オガクズ発酵風呂(酵素風呂)のちょっと深い話 

 

砂浴(砂療法、砂もぐり)と酵素風呂とは同じような雰囲気ですが、原理は全く異なります。あなたと健康社主幹の東城さんは砂浴を奨めており、健康な人でも年に1回、砂浴で毒出しをしておくとすばらしい健康法になるといっています。詳細は氏の著書、「家庭でできる自然療法」をご覧ください。この本は広く長く読まれているようですが、ただ効能を言いすぎる面がありますし、単なる症状取り、病気治しの手当法ではお粗末になりかねません。この点を注意しておきましょう。この本を読んで、砂浴に興味を持たれた方は非常に多いと聞きます。東城さんは砂が体の毒を吸いとるといっていますが、海水を含んだ砂だからこそ効果があるものです。ぬか漬けを考えてもらうとわかりやすいと思います。ぬか床に大根とかきゅうりなどを漬けておくと、水分が浮いてきます。その分、野菜はしぼんでしまいますが、塩気やぬかの栄養分を吸収して漬けものとしいおいしくなりますし、発酵により栄養分が高まります。

海岸の砂浴は塩の浸透圧作用により体の皮膚組織の滞っている体液を毒素、疲労素、公害物質等と一緒に排泄させているのです。当然体のミネラル分も排泄されますから、水分、ミネラル分を補いながら砂浴するわけです。時間もある程度長く2時間~8時間と砂に浸かっていた方がいいといえます。砂浴をやれる時期は初夏の6月から9月頃までです。

昔は中毒した時は土に首まで埋めるいわゆる土療法がありました。砂と土は違うのです。土は微生物とその住処です。一握りの土には何億何兆の微生物が住んでいます。すべての命は大地に帰るといいますが、これは土壌微生物に分解されて、土となるということです。土ならば毒素を中和したり、排泄する作用があってもおかしくありません。沖縄の南の島にはシャーマニックな土療法があるらしいのです。森の中の聖域で一晩、顔だけ出して土に埋もれたままで過ごすのです。変なものが入ってこない様に石などで結界がはられていて、月明かりのみ。月の光や朝の陽は薬になるといいます。体内の毒素が抜けていく時にいろいろな幻覚をみたりするともいいます。一度は体験してみたいものです。

自然界の動物たち、身近な犬や猫でも具合が悪い時は、食を断ったり、穴を掘って土の中に入ったりするといいます。○○県の○○湖畔での砂浴もあるようですが、海岸の砂浴の10倍の排毒効果があるなんていっています。眉つばものですが、宣伝文句としても誤解されてしまいます。ここが特別な地であるということを強調したいという意図でしょうが。ここでも東城さんの本の内容が紹介されています。癌とか難病にも大変効果があるとして、定期的にやることを奨めています。この療法のみに頼ることなく、生活全般をトータルに見直されるべきことです。昨年の○○原発事故により、近辺の海岸の砂浴、○○湖畔の砂浴も控えられているようです。

酵素風呂は最初はオガ粉にぬかを混ぜ、発酵原液を入れて発酵させて自然発熱させます。この熱は遠赤外線効果があるらしいのですが、計測したことはないので、実際のところはわかりません。後は発酵菌を育てていくつもりでいけばいいのです。酸素、水、栄養が必要で、毎日の手入れが大切です。ぬか床を毎日かき混ぜて手入れするのと同じです。酵素風呂の効果は60℃程度の温熱作用でゆるやかに発汗させて、毒素、疲労素を排出することです。70℃では熱くて入れませんし、60℃以上なら雑菌も繁殖しません。米ぬかで発酵していますから、ぬかの栄養や産出酵素で皮膚が清浄になりツヤツヤになってきます。オガ粉とぬかの酵素風呂は土と同じように微生物・発酵菌の住処であり、酵素も活性し、栄養豊かな美容パックをするものと同じような効果があります。そして微生物(酵母菌)の海にひたり生命波動を受けて細胞から活性化する。氣功でいう氣エネルギーを摂り入れて充電するようなものです。

一人浴槽では時間制限があり1520分であげられてしまうのですが、温度低下を防ぎ、温度回復を待つには営業上仕方がないかもしれません。汗をかくにはこの時間帯でいいのでしょうが、全身浴でなくても30分以上1時間程度、浸かっていた方が効果的です。そうなると料金を上げるなりしないと営業が成り立たなくなってしまいますので、むずかしいことです。全国平均が3000円程度ですので、5000円程度の料金なら可能でしょうか。現に都内の某所では50分5250円という所があります。当所へ年に1回来るバクテリアに詳しいある男性は、一度でいいから酵素風呂の上で一晩中寝てみたいといっています。バクテリア=細菌、ここでは酵母菌に抱かれて寝ると、とてもいい解毒になるといっていました。細菌=バイ菌と思って嫌いますが、生物は細菌無くして生きていけない(共存)のです。

酵素風呂の作用は営業をやっている多くの方々も誤解、錯覚があるようです。宣伝文句はだいたい次のようなものです。「現代の不健康な()生活により慢性的に酵素不足に陥っており、体内の酵素生産力も低下している。酵素風呂で酵素の補給し、体内酵素を充足させ、酵素生産力をアップして病気に対する抵抗力を高めていこう」というものです。「酵素不足が万病の元」的な説は間違っていますし、皮膚から毛細血管に酵素を浸透させ供給する方法であるとは到底理解できません。食べ物の持つ酵素は小腸の腸管からそのまま吸収されることはないのですから、ましてや皮膚から酵素が吸収されることなどあり得ません。仮に多くの酵素(蛋白質)が吸収されてしまうと、異種蛋白質として、自己の持つ免疫細胞に攻撃されてしまい、重篤な状態となってしまいます。従って、酵素風呂の酵素及食べ物の持つ酵素がそのまま体内酵素となって活躍するということはないのです。酵素風呂は皮膚から酵素を吸収・補給する療法ではありません。

植物エキス発酵飲料、通称、酵素飲料は糖の浸透圧を利用して植物のエキスを抽出させ、発酵させて作ります。発酵を終えればそこで酵素反応の役割を終えるわけですし、製品として出す前には熱殺菌しますので、例え酵素があったとしても活性は失効してしまいます。酵素飲料といわれるから、そこに酵素が存在するという大きな誤解を生んでいるわけです。発酵食品である「納豆」は大豆に納豆菌を作用させて発酵させます。酵素反応の結果、大豆が消化されやすくなり吸収力も栄養もアップします。誰しも大豆の酵素を摂取しているという人はいないでしょう。これと同じです。

畑などで土療法をすると、1年位種を撒いても枯れて育たないとか、木の下ですると木の実や果物など全く実らなくなるほど、体内からすごい毒素が出ると東城さんの本に書いてあるのをそのまま信じて、酵素風呂でも先の人が入った後に温浴すると、毒素にあてられて反対に体を悪くするのではないかという人もいます。絶えず発酵して新陳代謝をしているわけですから大丈夫ですし、本の内容をそのまま信じることはできませんし、随分大袈裟です。畑は農薬、化学肥料を使っていますし、木の下では根が張っていて土療法なんてできません。ただ一人が入った後は、しばらく24時間寝かせた方がいいといえます。一人浴槽では次から次へと温浴させる所もあると聞きます。これでは温浴効果も半減してしまいます。

土療法は原則としてどこでもできますが、山に入ってやるにしてもスコップ等いろいろと用意するものがありますし、やった後の始末(シャワー等)等を考えますと、なかなか実行できません。山では虫が多いので、虫嫌いな方は不向きです。そうなると、海岸の砂浴や酵素風呂がいいのかもしれません。千葉の九十九里浜で□□は砂浴合宿が恒例ですが、入会費、交通費、宿泊費、会費等含めますと5万円ほどになってしまいます。

中医学に「未病を治す」という言葉があります。病気になる前の段階、日頃から養生して健康を保つことが最高の治療であるということです。酵素風呂もそのようにして活用されることが最良でしょう。酵素風呂と他の赤外線器具を用いてより大量に発汗させることは、特別に場合を除き、あまりお勧めできません。15分程度ででる汗の量がいいようです。後は半身浴またはうつ伏せでゆったりしたほうがいい。継続してやっていくことが何より効果的です。

 

 

■酵素健康法の甘い罠

 

酵素が一つのブームとなっているようです。しかしながら、間違った情報や認識が多いように感じます。こういったブームというのは、仕掛け人がいるわけで、彼ら(商品販売者)に都合のいい情報だけを強調(情報操作)して、肝心なことはオブラートに包み、あやふやとして言わないのです。しかし最近では、通称、酵素飲料・酵素ドリンクというものには酵素は含まれていない。法定殺菌が義務づけられているから酵素は失活してしまうと本当のことをいう業者がありますが、それはそれで生酵素(酵素が生きている、ニセ酵素にだまされるな)とかいって、自社商品の優位性を強調しています。しかし、酵素を摂る意義はとなると、あやふやとしています。

まず酵素を語る前に、腸管免疫系についてお話しておきます。リンパ節はリンパ管の経路の途中にあり、リンパ液が節内を流れる間に侵入した細菌や異物はマクロファージ(大食細胞)などの働きによって捕えられ、同時にリンパ球が活発に増殖しつつ免疫抗体を造ります。リンパ節は最も異物が入りやすい場所、すなわち食物を吸収する働きをもつ小腸の粘膜に豊富にあります。パイエル板はこのリンパ節の小腸粘膜下にある巨大集団で、このパイエル板を中心とした腸のリンパ系が腸管免疫系です。腸管免疫系は末梢リンパ球の6070%を擁し、体の中で最大の免疫器官なのです。

小腸は最大の免疫器官であり免疫センターです。この腸管免疫系の活性に大切なのは、腸内微生物たちなのです。人間と共に暮らしている微生物たちは「常在微生物」と呼ばれ、共に成長し一生を過ごす存在のパートナーです。彼らが安定して生息することにより、有害な菌が体の中に入り病気になるのを防いてくれています。彼らは一種の生態系、腸内微生物叢(腸内フローラ)を形成し、互いに排除したり共生したりしながら住みやすい環境を作っています。こうした活動が、結果的によそ者である病原性微生物の繁殖を抑えることとなり、体を守ってくれるのです。その他には、発癌防止、肝臓機能の保護・補助や栄養促進、免疫異常の是正、ホルモン・ビタミンの産出、腸内環境の安定、ぜん動運動の活性化などの働きがあります。

この腸内微生物たちは非常にデリケートな存在で、例えば偏った食事、食べ過ぎ、ストレス、過労などに敏感に反応します。人間の行為と不可分な関係ですから、その人の生活のあり方が腸内環境として現れるわけです。

ではここで、酵母、酵素とは何なのでしょうか。また酵素を摂るという意義は何なのでしょうか。

酵母は生きた微生物で、その菌体内にたくさんの酵素を持っています。古くから私たちの食生活に密接に関係し、発酵によりパン、酒類、みそ、しょうゆ、漬物などを作ります。発酵食品の製造に使われる酵母は主にサッカロミセス属といって、糖分を取り込んで発酵する酵母です。

酵素とは生体内で作られる高分子物質(蛋白質のように小さい分子・アミノ酸から構成されている大きい分子のこと)で、体温環境で化学反応の触媒(反応促進役)として働きます。例えば、蛋白質をアミノ酸に分解する加水分解酵素とか、酸化・還元反応を促進する酸化還元酵素などがあります。

酵素飲料で使われる(浸透圧を利用して植物のエキスを引き出す)ショ糖(砂糖)は転化酵素により、加水分解されブドウ糖と果糖の等量混合物(転化糖)ができます。これが酵素飲料の甘さなのです。発酵によりエキスは消化吸収しやすいものですが、糖度は高くなってしまいます。アルコールも生産しますので、それを抜いて、熱殺菌をして製品化します。酵素はすべて失活しますが、発酵菌(酵母)は生きているのもありますので、発酵菌が作り出す酵素は存在します。酵素があるかないかが問題でなく、発酵の仕方とどういう発酵菌(酵母)を使っているかの方が大切です。

酵素を食べ物から体に取り入れることで健康維持に役立つという説を基にした健康法が「酵素栄養学」と呼ばれるものです。一生のうちで作れる酵素の量、即ち「潜在酵素」が人によって決まっていて、食べ物に含まれる酵素「食物酵素」を食べて補うと「潜在酵素」の消費量を節約できるので寿命が延びるというのです。酵素を栄養の一種として考えて、酵素が不足することが万病の元になっているとしています。そして、酵素は加熱すると変性するので加熱した食品よりも非加熱の食品を食べる方が体にいいとか、発酵食品には酵素が多く含まれるから体にいいのだとしています。そもそもその説自体が根拠のないことなのです。

それぞれの酵素は、その働き場所の環境に合わせて、そこで最も効率的に働ける様に作られています。体の中には、消化管内だと胃や腸でも環境が大きく違っていますし、細胞の中で働く場合でも、細胞には細かく仕切られた構造があり、それぞれの構造内でも環境が違っています。中には、酵素だけでは働けずに補酵素という酵素の働きを助ける物質が必要な場合もあります。つまり、環境条件が揃っていないと、酵素は上手く働けません。
 酵素は反応を促進するけれども、それ自身は反応の前後で変化をしない「触媒」として働きます。酵素は反応に使われたら消費されて減ってしまうことはなく、繰り返して何度も働くことができるのです。酵素は必要に応じて作られてから、分解による量の調節の他に、一部の酵素は活性を変化させる調節を受けたりして働き具合が調整されています。こうした体内で行われている酵素の調節システムとは無関係に、外から別の生物の酵素を取り入れて役立てようとするのは余計なことであり、(不足な)酵素を取り入れようという考え自体がナンセンスといえます。またそうした口から取り入れた酵素は胃腸を過ぎれば消化分解されてしまい、腸管の向こうでは元の酵素として組み立てられることはありません。医薬品としての消化酵素がありますが、至適環境でないと失活しますので制酸剤と同時に服用します。

某テレビで大澤教授が酵素は腸では吸収されないという当前のことに、皆ええっ本当!という驚きの声だったようです。酵素はそのまま吸収されることはない。その働きは、食べ物を消化が良い状態にする、また食品の栄養素に働きかけ様々な反応(発酵)を起こし、栄養素を強化したり、新たな栄養素を作り出す。それらが体に吸収されると、体内の酵素が活性化する?というのです。例えば、大豆を納豆菌で発酵させた納豆がそれです。発酵(酵素反応)により、消化吸収しやすい食品になり栄養も強化されます。納豆菌の作り出す酵素は体内(腸に届くまでに)にでは消化分解されますが、その菌体及び生産物質は腸内微生物叢のバランスを整えたり、腸管免疫系を賦活したりという働きがあります。

では生野菜とか果物の持つ食物酵素はどう働くのでしょうか。加熱してない野菜や果物は酵素がたっぷり含まれているといわれ、流行のスムージーは健康美容食とされています。ビタミン、ミネラル不足、食物繊維の不足を補うにはよいでしょう。その酵素は腸からそのまま吸収されるはずもありません。酵素(タンパク質)が腸管から吸収されるとなると、異種タンパク(抗原)として免疫細胞から攻撃されてしまい、体は大変なこと(重篤なアレルギーを起こす)になります。酵素はタンパク質から出来ていますので、腸管ではアミノ酸に分解されて吸収されるということになになります。「現代人はとにかく酵素が不足しています。だから積極的に酵素を取り入れましょう」(キャッチフレーズ)という発想自体がおかしいのです。こういう商業主義に惑わされないようにしましょう。

インターネットの宣伝をみると、○□△酵素が売れているようです。宣伝文句は売らんが為のすばらしいこと(本物の酵素とか)が書いてあります。これは他の販売者でも同じであります。発酵樽の前での白衣服の自分の写真が掲載してあって、あたかも自社工場かと思わせます。これは商品を信用させる手法でもありますが、実は○□△は製造者ではなく、販売者であります。九州の▽酵素㈱が多くの販売者の製造元です。中身はほとんど同じでありながら、商品名、ラベル、価格(随分高くなる)が異なるわけです。これはOME(製造する側に仕様の主導権がある)とかPB(商品の仕様の主導権は発注側にある)といわれます。

OMEPBの普及とまがいものの酵素健康法が相まって、酵素市場が花盛りとなっているのです。長寿社会となり健康意識が高くなった半面、健康不安も大きくなりました。こういう隙を狙って、健康産業界におどらされているのが私たちの現状なのです。彼らは売ることが目的なわけですから、都合のいいように情報を利用しています。

液体の酵素飲料は正しくは「食物エキス発酵飲料」ですが、酵素が含まれていないのに酵素飲料と名乗るのは、売れるからだそうです。煉り状のものや粉末状のものは熱殺菌されていないのもありますので、どうしても頼りたい人はこの方がいいでしょう。発酵飲料は手作りで簡単にできますので、ご紹介します。季節の旬な果実を用います。6月なら梅です。それをハチミツとリンゴ酢で漬けるだけです。2ヶ月で飲めます。どんどん発酵しますから、時折ふたをゆるめて炭酸を抜きます。柑橘類、りんご、ぶどうなども使って試してみてください。

最後に、一体何が大切なのでしょうか?腸内微生物叢の安定、腸内環境をよくすることこそ、重要と考えます。それをふまえた伝統的な食生活と発酵食を守るということだと思います。

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